予防歯科と噛むことの重要性(その1)
June 28, 2014
噛むという行為は、全身の健康とかかわりがあります。たとえば肥満防止。よく噛んで食事
をすると唾液が大量に分泌されます。それにともない、血糖値があがって空腹感がなくなり、
少ない食事量で満足感が得られるのです。
また歯周病などで歯がグラグラして食物がよく噛めないと、栄養の偏りから、糖尿病などの病気も悪化します。反対に肥満や糖尿病などがある人は、歯周病が治りにくいこともわかってきました。生活習慣病と歯の病気は悪循環を生むわけです。
さらに、噛むことは脳を刺激することにも通じます。咀嚼は脳からの指令で行われ、噛んだ刺激はまた脳に戻り、脳を活性化します。
普段、咀嚼は無意識に行われていますが、反射的な行為ではなく、学習を通じて覚えた意識的行動です。ですから赤ちゃんのころからしっかり教えることが大切なんですね。
● 唾液は幅広い作用をもつ
先にも述べた通り、唾液は、よく噛むことによって多く分泌されます。口を閉じているとき
にも出ていますが、噛むことによって質のいい唾液が10-12倍も分泌されるのです。それらを
あわせると、唾液分泌量は一日平均1~1.5?にもなります。
この唾液が、食べ物の消化を助けることは、ご存じの方も多いでしょう。それだけではなく、
他にもいくつか働きがあります。
たとえば抗菌作用。小さな傷ができたとき、自分でとっさになめることがありますが、これは雑菌を抑える働きを期待しての行為です。傷を化膿させるような菌の発育を抑える物質が、わずか
ですが唾液の中に含まれています。
● むし歯ができない
口腔環境にする
また、むし歯ができにくい口の中の環境をつくる働きもあります。むし歯は、ミュータンス菌などの原因菌がつくる酸が、歯の外表を構成するエナメル質からミネラルを溶かし出してつくられます。唾液はこの溶解を抑え、カルシウムやリン酸のミネラルを元に戻す働きを常時しています。